2026年新種牡馬紹介 ウィルテイクチャージ

2024年に創設された「ダート三冠競走」の創設を機に日本のダート競馬は盛り上がりを見せています。その中で、2026年に本邦初年度産駒がデビューを迎えるウィルテイクチャージ(Will Take Charge)は、日本のダート界の勢力図を塗り替える可能性を秘めた「世界基準の超大物」です。

ダーレー・ジャパンが満を持して導入し、すでに門別競馬場から鮮烈な狼煙を上げた本馬の魅力を、血統、競走成績、産駒実績のあらゆる角度から深掘りします。

ウィルテイクチャージの導入と血統背景

1. ダーレー・ジャパンが託す「ダート界の覇権」

ダーレー・ジャパン・スタリオン・コンプレックスがウィルテイクチャージを導入したのは2023年。その背景には、日本のダート路線の整備と、世界的なダート血統への需要の高まりがありました。

ダーレーは公式サイトやニュースにおいて、本馬を「Unbridled’s Songの最良の後継者の一頭」と明言しています。17ハンド(約173cm)を超える雄大な馬格、北米の厳しいG1戦線で磨かれたスピードと持続力、そして何より「仕上がりの早さと成長力」を兼ね備えている点に、日本の生産界からも熱い視線が注がれています。

「日本の馬場に適したスピードを持ち、なおかつ距離が延びても対応できるスタミナを遺伝させる」というダーレーの確信は、導入初年度から多くの有力牝馬が集まったことからも、その期待の大きさが伺えます。

2. 世界を席巻するサイアーライン

ウィルテイクチャージの父系は、現代競馬において「ダートの王道」とも言えるUnbridled(アンブライドルド)系です。その中でも、父Unbridled’s Songのラインは爆発的なスピードを誇り、日本競馬との相性も抜群です。

以下に、本馬を中心とした主要なサイアーラインをまとめました。この図が示す通り、Unbridled’s Songの直仔であるウィルテイクチャージは、アロゲートやリマズマップと並ぶ「本流」の継承者です。特に日本では、母の父としてスワーヴリチャードやコントレイルを輩出したUnbridled’s Songの血は、「芝のスピード」としても機能することが証明されており、ウィルテイクチャージ産駒がダートだけでなく芝でも活躍する可能性を秘めています。

Unbridled系サイアーライン
  • Unbridled (1987 us) ※90年ケンタッキーダービー馬。ファピアノ系から分岐
    • Unbridled’s Song (1993 us) ※アンブライドルド系の最大勢力
      • Songandaprayer (1998 us)
      • Midshipman (2006 us) ※08年BCジュヴェナイル制覇
      • First Defence (2004 us)
        • Siskin (2017 gb→jp) ※日本供用中
      • Dunkirk (2006 us→jp) ※日本供用
      • Zensational (2006 us)
      • Maclean’s Music (2008 us) ※近年米国で勢力を拡大中
        • Complexity (2016 us)
        • Jackie’s Warrior (2018 us) ※米エクリプス賞最優秀スプリンター
      • Cross Traffic (2009 us)
      • ★ Will Take Charge (2010 us→jp) ※2026年本邦産駒デビューの大注目種牡馬
      • Liam’s Map (2011 us)
      • Arrogate (2013 us) ※ペガサスWC、ドバイWC制覇。早世するも後継が活躍
        • Arcangelo (2020 us) ※23年ベルモントSなど。種牡馬入り
        • Seize the Grey (2021 us) ※24年プリークネスSなど
    • Empire Maker (2000 us→jp→us) ※日米で供用。底力とスタミナを伝える
      • Pioneerof the Nile (2006 us)
        • Cairo Prince (2011 us) ※米で堅実な種牡馬成績を残す
        • American Pharoah (2012 us) ※15年米三冠馬
          • カフェファラオ (2017 us→jp) ※フェブラリーS連覇
          • Four Wheel Drive (2017 us→jp)
        • Classic Empire (2014 us) ※16年BCジュヴェナイル制覇
      • Bodemeister (2009 us)
        • Always Dreaming (2014 us) ※17年ケンタッキーダービー馬
      • フェデラリスト (2007 jp) ※日本供用
    • Grindstone (1993 us) ※96年ケンタッキーダービー馬
      • Birdstone (2001 us)
        • Summer Bird (2006 us→jp) ※日本供用
        • Mine That Bird (2006 us) ※09年ケンタッキーダービー馬
    • Anees (1997 us) ※99年BCジュヴェナイル制覇
    • Broken Vow (1997 us) ※主に母の父として活躍馬を多数輩出

3. 北米屈指の「名牝系」から受け継ぐ活力

ウィルテイクチャージの配合において、父に負けず劣らず強力なのがその母系です。

母Take Charge Lady(テイクチャージレディ)は、米G1・3勝を挙げた名牝であり、繁殖牝馬としても「ブルーヘン(名牝系の祖)」としての地位を確立しています。

  • 半弟 Take Charge Indy:G1フロリダダービー馬。
  • 孫 Omaha Beach:米G1・3勝(アーカンソーダービー等)を挙げ、現在米国で大注目の種牡馬。
  • 孫 Take Charge Brandi:米2歳牝馬チャンピオン。

このように、近親には米国ダートの重賞勝ち馬がズラリと並びます。母の父Dehere(デヒア)は、日本でも馴染み深い早熟のスピード馬であり、この母系の活力と父系のスケール感が融合したウィルテイクチャージは、血統表を見ただけで「成功が約束されている」と言いたくなってしまいます。

米国および日本で証明された産駒の実力

ウィルテイクチャージが日本に導入される前から、その産駒たちはすでに世界各地で高いパフォーマンスを見せてきました。

1. 米国での実績:クラシックディスタンスからスプリントまで

本国アメリカにおいて、ウィルテイクチャージは多様なカテゴリーでトップクラスの産駒を輩出しました。

  • There Goes Harvard(ゼアゴーズハーバード) 2022年のG1ハリウッドゴールドカップ(ダート10ハロン)を制覇。この勝利は、ウィルテイクチャージ産駒が米国伝統のタフな中距離G1でも通用することを証明しました。父譲りの雄大なフットワークで押し切る競馬は、まさに王道です。
  • Manny Wah(マニーワー) 2022年のG2フェニックスステークスを制したほか、G1ブリーダーズカップ・スプリントでも4着に好走。8歳までトップレベルで走り続けたタフさと、スプリント戦でも通用するスピードは、日本の短距離〜マイル中心のダート体系において大きな武器となります。
  • Will’s Secret(ウィルズシークレット) 2021年のG1ケンタッキーオークスで3着に好走。牝馬のトップ戦線でも活躍馬を出せるフレキシブルな能力を証明しました。

これらの実績から、産駒は「パワー一辺倒」ではなく、高い追走能力と、長く脚を使う持続力を武器にしていることが分かります。

2. 日本で活躍した「マル外」としての先行指標

日本においても、外国産馬として輸入された数少ない産駒たちが驚異的な成績を残してきました。

  • フランスゴデイナ 新馬戦、もちの木賞を連勝。そのスピードは凄まじく、3歳時にはドバイのUAEダービー、さらには米国三冠最終戦のベルモントステークスにまで挑戦しました。
  • ヘルシャフト JRAで新馬勝ちを含む3勝を挙げた後、地方競馬へ移籍。大井の金盃などの重賞で息の長い活躍を続けています。

日本で走ったウィルテイクチャージ産駒の多くが「JRAのダート新馬戦で圧勝する」という共通点を持っており、これは日本の砂に対する適性と、仕上がりの早さが極めて高いことを示唆しています。

門別から始まった「日本第一号」の衝撃と展望

そして迎えた2026年4月、ホッカイドウ競馬(門別)において、ついに本邦産駒のデビュー戦が幕を開けました。

門別・新馬勝ち第1号:アクチュエルの鮮烈デビュー

2026年5月の門別開催(1回4日目)、ダート1100mで行われた新馬戦。ウィルテイクチャージ産駒のアクチュエル(牝、母パッションローズ、母父クロフネ)が、後続に影をも踏ませぬ走りで優勝。ウィルテイクチャージにとっての「日本産駒第1号」の勝ち名乗りとなりました。

  • 勝ちタイム:1:08.6
  • 配合:ウィルテイクチャージ × クロフネ

このタイムは、門別の開幕時期の2歳馬としては極めて優秀であり、何より「ウィルテイクチャージ×クロフネ」という配合は注目です。クロフネは言わずと知れたダートの怪物であり、母の父としても非常に高い能力を伝えます。Unbridled’s Song系のスピードと、クロフネのパワーが合致したこの結果は、今後の日本における配合の指針となるでしょう。

【2026年 日本一早い新馬戦総括】~門別フレッシュチャレンジ~
2026年のホッカイドウ競馬(門別)で日本一早く開幕した2歳新馬戦「フレッシュチャレンジ」序盤戦を総括!ホットロッドチャーリー、アルクトスら注目の新種牡馬産駒の勝ち上がりや、母父ワカオライデン、父ニシケンモノノフなど地方競馬ならではの奇跡の血統ロマンに迫ります。

今後の展望

今後、中央競馬(JRA)でも産駒が続々とデビューします。東京・中山のタフで力が必要なダートはもちろん、父系譲りの豊かなスピードがあれば、京都・阪神の軽いダートも難なくこなすはずです。

さらに期待が高まるのが、「芝路線」での活躍馬です。 ウィルテイクチャージが属するUnbridled’s Song系は、日本の主流血統であるサンデーサイレンス系牝馬との相性が抜群に良い(ニックスである)ことで知られています。実際、この血統は母の父としてスワーヴリチャードやコントレイルなど、芝の歴史的名馬を多数輩出してきました。

父系が内包する「極上のスピードと軽さ」、そして母の父デヒア系の「仕上がりの早さ」がサンデー系の切れ味と見事に融合すれば、ダート戦線にとどまらず、芝の重賞やクラシック戦線に名乗りを上げるような産駒が出てきても全く不思議ではありません。

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