G1・1番人気が現在7連勝中!次走で新記録なるか?21世紀の重賞「連勝・連敗」記録を徹底解剖

今年の春のG1戦線は、本命党の競馬ファンにとってたまらない週末が続いている。高松宮記念から始まり、大阪杯、桜花賞、皐月賞、天皇賞(春)、NHKマイルカップ、そしてヴィクトリアマイルに至るまで、なんと「1番人気」がG1レースを7連勝中なのだ。

実はこの「G1での1番人気7連勝」という数字は、21世紀の中央競馬において歴代トップタイとなる大記録である。もし次に行われるG1レースでも1番人気が見事に1着で駆け抜ければ、前人未到の「G1・8連勝」という新記録が誕生することになる。

しかし、G1だけでなくG2やG3も含めた「重賞全体」を調べてみると、過去には「1番人気が重賞で8連勝」したという記録が存在した。今回は、21世紀に行われた重賞レースのデータを紐解き、1番人気馬がどれほど連勝し、あるいはどれほど連敗してきたのか、その知られざる記録と歴史を徹底的に振り返ってみたい。

※注釈:今回の調査データは、21世紀(2001年以降)に中央競馬で行われた「平地重賞(全3169レース)」のみを対象として集計しています。障害重賞は含んでおりません。

G1レースにおける1番人気の連勝・連敗記録

まずは、競馬の最高峰であるG1レース(全575レース)における1番人気の連勝および連敗記録を見てみよう。選ばれし強豪が集うG1において、圧倒的な支持を集める1番人気馬は、どれだけ期待に応え、あるいは裏切ってきたのだろうか。

【G1における1番人気の連勝回数】

過去のG1レースにおいて、1番人気が連勝した回数の分布は以下の通りだ。

  • 7連勝:2回(※今回を含む)
  • 5連勝:1回
  • 4連勝:3回
  • 3連勝:9回
  • 2連勝:23回
  • 1勝のみ:98回

圧倒的な能力を持つ馬であっても、G1の舞台で勝ち続けることは非常に難しく、大半は1勝か2連勝でストップしている。その中で、現在の「7連勝」がいかに異次元の記録であるかがわかるだろう。

現在と並ぶもう一つの「7連勝」が記録されたのは、2020年の秋シーズンである。 スプリンターズSのグランアレグリアから始まり、秋華賞のデアリングタクト(無敗の牝馬三冠達成)、菊花賞のコントレイル(無敗の三冠達成)、天皇賞(秋)のアーモンドアイ、エリザベス女王杯のラッキーライラック、マイルCSのグランアレグリア、そしてジャパンカップのアーモンドアイ(歴史的引退レース)まで、まさに歴史に名を刻む名馬たちが、ファンの絶大な期待に完璧に応え続けた秋だった。

【G1における1番人気の連敗記録】

一方で、競馬には「絶対」はない。1番人気が勝てない暗黒期とも呼べる大波乱の時代も存在する。

  • 16連敗:1回(過去ワースト)
  • 12連敗:1回
  • 9連敗:1回
  • 7連敗:4回
  • 6連敗:5回
  • 5連敗:9回
  • 4連敗:15回
  • 3連敗:21回
  • 2連敗:31回
  • 1敗のみ:48回

G1におけるワースト記録は、実に「16連敗」である。 この大連敗は、2021年のホープフルSから始まり、2022年の菊花賞まで約10ヶ月間も続いた。桜花賞では7番人気のスターズオンアースが勝ち、高松宮記念では8番人気のナランフレグ、スプリンターズSでは8番人気のジャンダルムが勝利するなど、オッズが割れて大穴があくレースが連続した。

1番人気の単勝を買うファンにとっては悪夢のような16戦だったが、この長いトンネルを打ち破ったのが、2022年天皇賞(秋)におけるイクイノックスだった。のちの世界最強馬が、ここから新たな覇権を打ち立てることになるのだから競馬は面白い。

視覚的にわかりやすいように連勝と連敗のグラフを作成した。
横軸(連勝・連敗):中央を境にして、右側が「連勝記録(1連勝〜7連勝)」、左側が「連敗記録(1連敗〜16連敗)」
縦軸(発生回数):それぞれの連勝・連敗が過去に何回発生したかを示す。(棒グラフの上の数字が実際の回数)。
色分け:青色の棒グラフが「連勝」、赤色の棒グラフが「連敗」

21世紀の全重賞(G1〜G3)における連勝・連敗記録

次に、G2やG3も含めたすべての平地重賞(全3169レース)に視野を広げてみよう。G1を目指す実力馬と新興勢力がぶつかるステップレースや、ハンデ戦なども含まれるため、さらに記録の振れ幅は大きくなる。

【全重賞における1番人気の連勝回数】

  • 8連勝:1回(過去最高記録)
  • 6連勝:1回
  • 5連勝:4回
  • 4連勝:13回
  • 3連勝:41回
  • 2連勝:135回
  • 1勝のみ:456回

G1では7連勝が最高だったが、重賞全体で見ると「8連勝」という大記録が過去にたった1度だけ達成されている。 それは2016年の秋、9月10日から10月1日にかけての期間だった。

秋のG1戦線に向けた重要なトライアルレースや前哨戦が集中するこの時期、以下の1番人気馬たちが一切の隙を見せずに勝利を収め続けた。

重賞全体において過去最高となる「8連勝」が記録されたのは、2016年の秋シーズンである。
秋華賞トライアル・紫苑S(G3)のビッシュから始まり、京成杯AH(G3)のロードクエスト、スプリント王の貫禄を見せたセントウルS(G2)のビッグアーサー、春のクラシックホースが底力を示したセントライト記念(G2)のディーマジェスティとローズS(G2)のシンハライト、グランプリホースが制したオールカマー(G2)のゴールドアクター、後の菊花賞馬となる神戸新聞杯(G2)のサトノダイヤモンド、そしてダート戦線を無傷で連勝してきたシリウスS(G3)のマスクゾロまで。

クラシックを狙う3歳馬(ディーマジェスティ、シンハライト、サトノダイヤモンド)や、実績十分の古馬(ゴールドアクター、ビッグアーサー)が、前哨戦できっちりと格の違いを見せつけた結果生まれた8連勝だった。なお、この偉大な記録は翌日のG1・スプリンターズSで1番人気のビッグアーサーが敗れ、3番人気のレッドファルクスが勝ったことで幕を閉じている。

【全重賞における1番人気の連敗記録】

  • 20連敗:1回
  • 16連敗:2回
  • 15連敗:2回
  • 14連敗:2回
  • 13連敗:1回
  • 12連敗:6回
  • 11連敗:12回
  • 10連敗:12回
  • ※以下略(9連敗〜1連敗まで多数)

重賞全体の連敗記録を見ると、ハンデ戦などが含まれることもあり、ワースト記録はなんと「20連敗」にまで達する。また、10連敗以上の長いトンネルも過去に38回も発生しており、重賞において「1番人気を盲信し続けること」の恐ろしさをデータが如実に物語っている。

視覚的にわかりやすいようにこちらも連勝と連敗のグラフを作成した。
横軸(連勝・連敗):中央を境にして、右側が「連勝記録(1連勝〜8連勝)」、左側が「連敗記録(1連敗〜20連敗)」
縦軸(発生回数):それぞれの連勝・連敗が過去に何回発生したかを示す。(棒グラフの上の数字が実際の回数)。
色分け:青色の棒グラフが「連勝」、赤色の棒グラフが「連敗」

結び:新たな歴史は刻まれるのか?

過去のデータを振り返ると、1番人気が勝ち続けることはまさに「奇跡的なバランス」の上に成り立っていることがわかる。2020年のアーモンドアイやコントレイルが活躍した時代のように、絶対的な能力を持ったスターホースたちが同時に複数存在し、かつそれぞれのレースで実力を100%発揮できなければ、連勝記録はあっさりと途絶えてしまう。

現在進行中の「G1・7連勝」。 次のG1レースで1番人気に推される馬は、とてつもないプレッシャーと戦いながら、21世紀のG1単独新記録となる「8連勝」に挑むことになる。そしてそれは同時に、2016年に記録された全重賞を通じた歴代最高記録「8連勝」に肩を並べることにもなる。

今週末のファンファーレはある意味注目である。

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