はじめに:コントレイル産駒、2週連続重賞制覇が意味するもの
先週、先々週と、朗報?がもたらされました。。青葉賞(G2)をゴーイントゥザスカイが力強く抜け出して制し、続く京都新聞杯(G2)ではコンジェスタスが鮮やかな差し切り勝ち。初年度産駒である現3歳世代から、2週連続で重賞ウイナーが誕生したのです。無敗の三冠馬コントレイルは、競走馬としてだけでなく、種牡馬としても父ディープインパクトの後継者として頂点に立つポテンシャルを秘めていることを、自らの産駒の走りでやっと証明し始めました。種付け料高いだけのことはあります。
現在、コントレイル産駒はまだデビューした頭数が限られており、数千頭の産駒を送り出した父大種牡馬ディープインパクトと単純な成績比較を行うことは困難です。しかし、「どのような母父(ブルードメアサイアー)を持つ繁殖牝馬と交配された時に、より強い馬が生まれるのか」というニックス(好相性)の傾向を確かめてみたいと思います。
父ディープインパクトが残した膨大な「母父別成績データ」と、コントレイルの「現在の産駒データ」を掛け合わせることで、今後コントレイル産駒において大爆発する可能性を秘めた「黄金の配合」を読み解いていきます。
ディープインパクトが証明した「成功の法則」
コントレイルの未来を予測するためには、まず父ディープインパクトの成功法則を振り返る必要があります。ディープインパクトは日本競馬史上最高とも言える「軽さ」「しなやかさ」「瞬発力」を武器にしていました。しかし、種牡馬としては、自身と同じように軽くて細身の牝馬を合わせると、馬体が小さくなりすぎたり、パワー不足に陥るリスクがありました。
そこで大成功を収めたのが、「豊かな筋肉量を持つアメリカのスピード血統」や、「馬力と底力を兼ね備えたヨーロッパの重厚な血統」を持つ牝馬との配合です。
実際にディープインパクト産駒(出走10頭以上の母父系)のデータを紐解くと、以下のような系統が驚異的な数字を叩き出しています。
- Vice Regent系(クロフネ等): 勝馬率 81.5%、1頭あたり本賞金 6133万円
- Danzig系(デインヒル等): 勝馬率 76.1%、1頭あたり本賞金 5820万円
- Bold Ruler系(タピット等): 勝馬率 75.3%、1頭あたり本賞金 5412万円
- Kingmambo系(キングカメハメハ等): 勝馬率 74.7%、1頭あたり本賞金 5721万円
これらの血統は、ディープの瞬発力を殺すことなく、足りない部分を補完する最高のスパイスとして機能しました。では、この法則は息子であるコントレイルにも当てはまるのでしょうか。
以下の表は、ディープインパクトにおいて好成績を収めた母父の血統と、コントレイル産駒の現在の成績を比較したデータです。今後の活躍馬を予想する上で、非常に重要なヒントがここに隠されています。
| 母父の系統 | コントレイル 頭数 | 勝馬率(%) | 本賞/頭(万円) | ディープ 頭数 | 勝馬率(%) | 本賞/頭(万円) |
| Nijinsky系 | 0 | 0.0 | 0 | 42 | 71.4 | 7016 |
| Vice Regent系 | 1 | 100.0 | 750 | 137 | 81.5 | 6133 |
| Nureyev系 | 2 | 50.0 | 337 | 53 | 73.6 | 6118 |
| Danzig系 | 11 | 50.0 | 590 | 136 | 76.1 | 5820 |
| Kingmambo系 | 8 | 28.6 | 360 | 91 | 74.7 | 5721 |
| Bold Ruler系 | 6 | 20.0 | 1268 | 81 | 75.3 | 5412 |
| Northern Dancer系 | 2 | 50.0 | 814 | 47 | 79.5 | 5252 |
| Roberto系 | 7 | 50.0 | 531 | 115 | 62.3 | 3713 |
| Matchem系 | 3 | 100.0 | 307 | 14 | 85.7 | 3608 |
| Sadler’s Wells系 | 15 | 30.8 | 606 | 107 | 66.4 | 3428 |
コントレイル産駒の現状データとのリンク
結論から言えば、コントレイルは父ディープインパクトの成功法則を受け継いでいるのではないかと思われます。それを象徴するのが、重賞を連勝した2頭の母系です。
青葉賞を勝ったゴーイントゥザスカイの母父はTapit(Bold Ruler系)です。ディープインパクトとTapitの組み合わせからは名牝グランアレグリアが誕生していますが、米国特有の圧倒的なスピードとパワーを注入するこの系統との相性の良さを、コントレイルも早速証明しました。現在、コントレイル産駒で母父Bold Ruler系の出走は6頭と少ないですが、1頭あたりの本賞金はすでに「1268万円」と全系統の中でトップクラスに跳ね上がっています。
一方、京都新聞杯を勝ったコンジェスタスの母父はAlamosa(Northern Dancer系)です。ディープインパクトも欧州系の重厚なNorthern Dancer系(Sadler’s WellsやNureyevなど)と合わせることで数多くのクラシックホースを出しましたが、コントレイルでもその傾向が強く出ることが期待されます。
現在、コントレイル産駒で3頭以上が出走している系統の「勝馬率(勝ち上がり率)」を見ると、以下のようになっています。
- Danzig系: 出走11頭中、勝馬率 50.0%
- Roberto系: 出走7頭中、勝馬率 50.0%
- Sadler’s Wells系: 出走15頭中、連対率 31.1%
デビュー間もない時期に勝馬率50%を叩き出しているDanzig系やRoberto系は、まさにディープインパクトが成功を収めた「パワーとスピードの補完」がうまくいっている証拠です。
コントレイルと高相性の母父3選
ここまでのデータ分析を踏まえ、今後の馬券検討やPOG(ペーパーオーナーゲーム)の指名において、見つけたら絶対にチェックすべき「コントレイルと高相性になる母父系統」を3つ挙げます。
1. 鉄板のスピード&パワー補完:Danzig(ダンジグ)系
ディープインパクトにおいてジェンティルドンナやミッキーアイルを出した黄金血統です。豊富な筋肉量とスプリント〜マイルのスピードを伝えるため、コントレイルのしなやかさと合わさることで、王道の芝中距離馬が誕生しやすくなります。すでに11頭がデビューし勝馬率50%を記録しており、今後最もコンスタントに活躍馬を出す「鉄板の母父」となるでしょう。代表的な母父にはデインヒル系やスニッツェル、ハーディスクンなどがいます。
2. 一撃必殺のホームラン血統:Bold Ruler(ボールドルーラー)系
ゴーイントゥザスカイを生み出した系統です。米国のダートをスピードで押し切るような強烈な前進気勢をもたらします。ディープインパクトとの配合でも勝馬率75%超、1頭あたり5400万円以上を稼ぎ出したように、当たれば特大のホームラン(G1級)になる可能性を秘めています。母父Tapit、マジェスティックウォリアー、パイロなどの産駒が該当します。
3. 爆発力No.1の隠し玉:Vice Regent(ヴァイスリージェント)系
ディープインパクトの母父データにおいて、出走100頭以上の大所帯でありながら「勝馬率81.5%、1頭あたり6133万円」という異常な数値を叩き出していたのがこの系統です。代表格はクロフネやフレンチデピュティです。コントレイル産駒においては、現在まだ1頭しかデビューしていませんが、その1頭は見事に勝ち上がっています(勝馬率100%)。日本のタフな馬場やダートもこなせる馬力を与えるため、今後「父コントレイル×母父クロフネ」などの配合馬が出てきたら注目すべきです。
今後に期待「日本の王道」と「異系の血」との配合
上記の3系統に加え、今後の動向から目を離せない系統がさらに2つ存在します。
一つ目はKingmambo(キングマンボ)系です。母父キングカメハメハやルーラーシップなどに代表される日本の王道血統です。ディープインパクトとの配合(ワグネリアンなど)でもおなじみですが、コントレイル産駒でも現在8頭が走り勝馬率28.6%、連対率30.0%と上々の滑り出しを見せています。繁殖牝馬の質・量ともに日本トップクラスの系統であるため、分母が増えれば必然的に重賞馬がポンポンと飛び出してくるはずです。
二つ目は、データ上の「特異点」となっているMatchem(マッチェム)系です。ティズナウなどに代表される現在では少数派の血統ですが、ディープインパクトとの配合で勝馬率85.7%という驚異的な数字を出していました。そして驚くべきことに、コントレイル産駒でも現在3頭が出走し、3頭とも勝ち上がっている(勝馬率100%)のです。主流血統から外れた「異系交配」となることで血の活性化が起こり、非常に堅実に走る馬を出す隠れたニックスと言えます。代表種牡馬はティズナウ(Tiznow)、ウォーニング、カルストンライトオなど。
クラシックを見据えた欧州の重厚な血統
最後に、将来のダービー馬やオークス馬を狙う上で忘れてはならないのが、欧州のタフな馬場を生き抜いてきた底力あふれる系統です。
ディープインパクトのデータにおいて、1頭あたりの本賞金ランキングのトップを飾ったのはNijinsky系(7016万円)とNureyev系(6118万円)でした。また、Sadler’s Wells系も非常に高い相性を示しました。これらの血統は、仕上がりが遅く奥手になる傾向があるものの、一度本格化すると底知れぬスタミナと成長力を発揮します。
コントレイル産駒の現状を見ると、Sadler’s Wells系の繁殖牝馬からすでに15頭がデビューし、勝馬率こそ30.8%ですが、連対率(2着以内に入る確率)は31.1%と高く、常にレースで上位に顔を出しています。距離が延びて真価を発揮する馬が多いため、秋以降の菊花賞戦線や古馬になってからの重賞戦線で、これらの母父を持つ馬が大暴れする可能性は非常に高いと考えられます。
血統のドラマはこれから
コントレイルは、自身の母父にUnbridled’s Song(Fappiano系)という米国のダート血統を内包しています。そのため、種牡馬入り当初は「ディープインパクトよりもダート色が強くなるのではないか」「少し重たくなるのではないか」という見方をする血統家もいました。
しかし、蓋を開けてみれば、青葉賞や京都新聞杯といった「芝の王道・中長距離」で圧倒的なパフォーマンスを見せています。そしてその背後にある成功の鍵(母父の血統傾向)は、偉大なる父ディープインパクトが通ってきた道と同じ轍を踏もうとしているように見えますが、生産者たちはより深い考察をしていることでしょう。
今後デビューしてくるコントレイル産駒の馬柱を見る際は、ぜひ「母の父」の欄に注目すると面白いと思ってきました。POGなどの指名で次なる重賞ウイナーの誕生を誰よりも早く予見できるかもしれません。

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