2026年マーチステークス覇者:ヴァルツァーシャル血統解説

ヴァルツァーシャルは、欧州由来のスピードとパワーを併せ持つ父マクフィと、日本競馬で半世紀以上受け継がれてきた名門「ターキン牝系(13-c)」の血が融合した結晶です。

ヴァルツァーシャルの強さの根源は、奇跡的につながったドバイミレニアムからつながる父マクフィ(ドゥバウィ系)と母父エンパイアメーカーという「強靭なパワーと卓越したダート適性」を持つ血統に、日本で半世紀以上かけて育まれてきた「ターキン牝系」のスピードと底力が組み合わさっている点にあります。血統を調べて社台の祖ともいえるオークス馬シャダイターキンやあのトウカイテイオーを葬ったレッツゴーターキンの名前が出てくると面白いです。

父系の特徴とサイアーライン

父マクフィ(Makfi) は、英2000ギニーやジャックルマロワ賞を制した欧州の最優秀3歳マイラーです。世界的な大種牡馬ドゥバウィ(Dubawi)の直仔であり、引退後は種牡馬として欧州やオセアニアでG1馬を輩出。日本でも供用され、日本の馬場において芝・ダートを問わず機動力とパワーを兼ね備えた産駒を多く送り出しています。

以下は、ミスタープロスペクターから連なるシーキングザゴールド系のサイアーラインです。

シーキングザゴールド系 サイアーライン
  • Seeking the Gold / シーキングザゴールド (1985)- 米G1・2勝(父:Mr. Prospector)
    • Dubai Millennium / ドバイミレニアム (1996)- ドバイWCなどG1・4勝
      • Dubawi / ドゥバウィ (2002)- 【現在の欧州主流系統・ドゥバウィ系】世界的な大種牡馬
        • Makfi / マクフィ (2007)- 英2000ギニー優勝、日本でも種牡馬入り
          • ★ ヴァルツァーシャル (2019)- 本馬、マーチステークス優勝
          • Make Believe / メイクビリーヴ (2012)- 仏2000ギニー優勝
        • Night of Thunder / ナイトオブサンダー (2011)- 英2000ギニー優勝
        • Benbatl / ベンバトル (2014)- ドバイターフなどG1・3勝、日本で種牡馬入り

牝系(ボトムライン)の特徴と歴史:名門「13号族」

ヴァルツァーシャルの牝系は、ファミリーナンバー「13-c」(13号族)に属する世界的名牝系・フリゼット(Frizette)系の枝葉です。日本においては1950年代に輸入された基礎牝馬フォルカーから広がる俗称「ブラックターキン牝系」として知られ、社台グループの黎明期を支えた由緒ある血脈です。

以下は、ヴァルツァーシャルの直系となる母系の連なりです。

1. 母:バイカターキン(Baika Tarquin)

  • 生年・父:2013年生まれ(浦河町産、鹿毛)/父 エンパイアメーカー
  • 血統背景:ダート適性と力強さに定評のあるエンパイアメーカーを父に持ちます。代々受け継がれてきた「ターキン」の底力に、近代ダートのパワーが注入された配合です。
  • 産駒の活躍:マクフィを父に持つ最高傑作・ヴァルツァーシャル(マーチS優勝) を輩出し、繁殖牝馬として高いポテンシャルを証明しました。

2. 2代母(祖母):アブラシオ(Abbracio)

  • 生年・父:2005年生まれ(浦河町産、鹿毛)/父 グラスワンダー
  • 実績:有馬記念などを制した名馬グラスワンダーを父に持ちます。自身から連なる牝系に、タフさや成長力といった中長距離的要素を伝える架け橋となりました。

3. 3代母:ジュウジホウセキ

  • 生年・父:1992年生まれ(荻伏産、鹿毛)/父 マルゼンスキー
  • 実績:圧倒的なスピードを誇った名馬マルゼンスキーを父に持ちます。重厚な血統構成になりがちなこの牝系において、日本の高速馬場や先行争いに対応するための重要な「スピードの血」を供給しました。

4. 4代母:ジュウジターキン

  • 生年・父:1980年生まれ(早来産、鹿毛)/父 ハンターコム
  • 実績:アブラシオへと繋がるジュウジホウセキの他にも、優秀な産駒を送り出しました。直仔からはクイーンカップやフローラSを制したディアジーナ(父メジロマックイーン)を輩出しています。

5. 5代母:シャダイターキン(Shadai Tarquin)

  • 生年・父:1966年生まれ(千葉産、鹿毛)/父 ガーサント
  • 実績:1969年の優駿牝馬(オークス)を制覇し、社台ファームに初のオークス制覇をもたらした歴史的な基礎牝馬です。このシャダイターキンを祖とする分岐からは、天皇賞・秋を制覇したレッツゴーターキンなど、タフで息の長い活躍を見せる重賞馬が多数誕生しています。

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